食道癌の手術で内視鏡で済むケースは50%以下
癌の中でも治療が比較的難しいといわれてきたのが食道癌です。しかし、早い症状の段階で発見できれば、負担の少ない内視鏡治療で完治が期待できます。早期発見のためには、自分自身の食道癌のリスクについて知っておくことが大切です。食道癌の手術の方法などを詳しく見ていきましょう。
食道癌の内視鏡手術は負担が軽い
食道癌の手術は、胸を開いて食道をリンパ節とともに取り除き、胃を持ち上げてつなぐのが一般的。患者の負担はけっして小さいとはいえません。このため、開胸せずにすむ負担の軽い治療をめざして、内視鏡手術が試みられてきました。
当初の内視鏡手術は、直径1cmあまりの輪っかに食道癌を引っかけて焼き切るEMRという手法が中心。しかし、大きな癌だと一度に取りきれず、同じ場所で再発する例が少なくありませんでした。
現在の内視鏡手術の中心は「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)」と呼ばれるもの。基本的に、厚さ1mmに満たない食道の粘膜に、癌がとどまっている場合が対象になります。内視鏡の映像をモニターで確認しながら、先端の電気メスで癌を粘膜ごとはがし取る方式です。
食道癌でも内視鏡手術にならない
癌の周囲の粘膜を切り、下の層からはがしていくESDは、大きな癌でも粘膜にとどまっている限り、一度に切除可能。同じ場所での再発リスクを大幅に減らせます。また、取った癌を詳しく調べやすく、精密な診断につながるのです。
国内では年間2万人以上が新たに食道癌と診断されています。そのうちの50%以上は、内視鏡手術の対象にならないほど癌が進行していました。食道癌は、早期では症状を感じないことが多いからです。
現在、日本で見つかる食道癌の最大の要因とみられるのはアルコール。しかも、少量のアルコールですぐに顔が赤くなる体質の人は、リスクが大きいといいます。
食道癌になりやすい体質は遺伝子で生まれつき決まっていて、飲み続けてアルコールに強くなっても変わることはありません。喫煙や緑黄色野菜の不足もリスクを高めます。こうした食道癌の発症リスクを抱える人は、症状がなくても検査を受けたほうがよいでしょう。
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