基準値超えは「高尿酸血症」という病気 – ためしてガッテン
「痛風」といえば「尿酸値」がそのバロメータ。ただし、なかには尿酸値が基準値を超えていながら痛風の痛みが発症していない人もいます。しかし、痛みがないからといって安心はできません。尿酸の基準値超えは「高尿酸血症」という立派な病気なのです。
高い尿酸値が血液の流れを細くしていた
尿酸はいったん腎臓でろ過されて老廃物となりますが、それを腎臓内で回収されるという現象で血液に取り込まれ、結果として尿酸値が上がることになっています。なぜ、このような現象がおきるのでしょう?
これは、尿酸に「抗酸化作用」があるため。東京薬科大学の市田公実教授によると、私たちの体には活性酵素を消去する物質がいっぱい存在しているのだとか。そのなかでも、尿酸が一番濃度が高く、活性酵素を消去する役割をはたしているのです。
人間以外の多くの生物はビタミンCを体内で作ることが可能。ところが、人間はビタミンCを作り出すことができないため、尿酸がその抗酸化作用を担っているのです。ということは、尿酸値は高いほうが、抗酸化作用がよく効くということでしょうか?
ここで、意図的に尿酸値を上げたラットと通常のラットとの血管の断面図を見てみましょう。すると、尿酸値を上げたラットの血管は、血管の内側が厚くなった状態。血液が流れる部分が異常に細くなっていたのでした。
高尿酸血症が動脈硬化を引き起こす
これは尿酸値が高い場合、血管の細胞が尿酸を多く取り込んでしまうこととなり、細胞が刺激されて炎症をおこすなどして血管自体が分厚く変化してしまうのです。これによって、動脈硬化の状態がおきるのではないかと考えられています。
つまり、尿酸値の基準値「7」以下であれば尿酸は抗酸化作用の働きをしてくれる「よい作用」を及ぼしますが、基準値を超えてしまうと血管が動脈硬化に近い常態になる「悪い作用」を及ぼすというわけです。尿酸値が高くなりなろいすぎなければ、尿酸は本当はとてもありがたいものなのです。
尿酸値が基準値「7」を超えていながら「痛風」の痛みが発症していない人たちには、「高尿酸血症」という病名が付いています。痛風になってしまえば多くの人は尿酸を下げようとするのですが、尿酸値が高いまま自覚症状がないまま放置することに…。ここに命の危険が潜んでいたのです。
高尿酸血症には動脈硬化や心筋梗塞などを引き起こす危険があります。尿酸値が高くても痛風になっていない人の首の血管の検査をしてみると、動脈硬化が血管の中で少しおきていました。タバコも吸わず、コレステロール値も正常にもかかわらず、知らず知らずのうちに動脈硬化が進行してたのです。
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