大人の中耳炎で注意すべきは「好酸球性中耳炎」
放置すると聴力がゼロになってしまう、大人がかかる恐ろしい中耳炎があります。それが「好酸球性中耳炎」。とはいえ進行を止めることは可能なため、早期発見が重要。そのメカニズムと見分け方を見ていきましょう。『ためしてガッテン』の「隠れ難聴かも!?」で紹介されていました。
1990年代に大人の中耳炎患者が続出
中耳炎は原因がハッキリしており、ほとんど治すことができる病気とされています。ところが1990年代、医師の元にはどうやっても治らない難治性の、大人の中耳炎患者が続出しました。
普通の抗菌薬でもすぐ再発するし、点耳薬も効果がありません。原因を探るために患者をリストアップすると、全員がぜんそく持ちであることが判明したのです。
なぜこのようなことがおきるのでしょうか? 私たちの血液の中には、好酸球という白血球の仲間がいます。肺の中にウイルスが入ってくると、この好酸球がやっつけてくれるのです。
大人の中耳炎は放置すると聴力ゼロに
この好酸球がものすごく増えてしまうのがぜんそく患者。増えてしまった好酸球は暴走して、敵もいないのにあちこちに攻撃を仕掛けてしまいます。それが気管支でおこるのが、いわゆるぜんそくの症状です。
ぜんそくがおきるのは気管支ですが、中耳や鼻も同様に気道の一部。好酸球が活性化されやすいのです。このため、ぜんそくと同じ症状が中耳でおきてしまいます。
この難治性の大人の中耳炎は、放置すると耳の中にポリープができて変形。こうなると耳の神経自体が破壊されてしまい、最悪の場合は聴力がゼロになってしまうのです。
大人の中耳炎の病名は好酸球性中耳炎
難治性の大人の中耳炎の正式な病名は好酸球性中耳炎です。この好酸球性中耳炎が最近とくに増加中。その背景には、ぜんそく患者も増えていることが関係しています。
以前はぜんそくに対して、全身的なステロイドによる治療が行われていました。それが最近では、吸入型の気管支だけに効くステロイドを使用するようになっています。このため、好酸球性中耳炎が増えているのです。
好酸球性中耳炎はなるべく進行しないように止めるしかありません。早期の治療開始で、聴力低下を防ぐようにしましょう。大人で発症したぜんそくに加えて、耳が遠くなったり耳垂れが出てくるなどの症状が現れたら、好酸球性中耳炎の可能性が大。専門医にしっかりと診察してもらうことが大切です。
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