原因不明の微熱が続くのは「心因性発熱」かも
ストレスが原因でおきる「心因性発熱」は血液検査でも原因が見つからず、解熱剤でも熱が下がらない病気です。心因性発熱で微熱が続く辛い症状に悩まされたという実際の症例を見ていきましょう。10月8日放送『ためしてガッテン』の「取り戻せ免疫パワー」で紹介されていました。
心因性発熱で微熱が続いた症例
さっそく、心因性発熱が原因で微熱が続いた実際の症例を見ていきましょう。とある中年女性が異変を感じたのは5年前のこと。女性は家事のかたわら以前の勤め先に再就職したころです。忙しい毎日でしたが、やりがいを感じてがんばっていました。
まもなくして疲れが抜けにくいと感じるようになります。風邪をひいたのかと思い熱を計ってみても37.4度と微熱。しかし、熱が下がるまで一週間もかかりました。本人いわく、疲れは出たもののそれでも踏ん張れるという感じ。十分寝ればががんばれるという印象はあったといいます。
さらにこの年の秋、父親が病気で入院します。このころから微熱が続くようになりました。市販の解熱剤を飲んでも効き目ナシ。検査のために総合病院を6件も回りましたが、原因はわからないままでした。あらゆる病気を疑っても該当せず、途方に暮れたといいます。
ストレスで微熱が続く心因性発熱
やがて全身が異常なだるさに襲われ、ベッドから起き上がることもできなくなってしまいました。会社を休む日も増え、ついには退職することに…。一番がんばらなくてはいけないときなのに、何にもがんばれない自分が悔しかったと振り返ります。
ところが、あるときを境に微熱が出なくなります。それは意外にも、闘病していた父が余命わずかと知らされたときでした。微熱の出てくる回数が減ったのです。
じつはこれが「心因性発熱」でした。父親を失うかもしれない恐怖を受け入れた…そんな心境だったのかもと振り返っています。原因不明で微熱が続く原因はストレスなのでした。
微熱が続く心因性発熱の3つの症状
無理していることは、無理しているときは本当に気づかないもの。しゃべっていても呼吸がどんどん早くなったりする経験は誰にでもあるはずです。そこで、心因性発熱の3つの症状を見ておきましょう。
1つには、内科で血液検査などをしても微熱の原因が見つからないことが挙げられます。2つめは、特定の出来事に対して発熱があること。そして3つめは、解熱剤を飲んでも熱が下がらないことです。
このような微熱が続いている人は、心療内科に相談するとよいかもしれません。本人は気づきにくいことが多いため、周りの人も微熱が続く症状を見たら、心因性発熱の可能性を考えるべきでしょう。
心因性と風邪の発熱の違いとは?
微熱が続く心因性発熱と風邪の発熱は何が違うのでしょうか? 風邪はウイルス感染によって生じた炎症が信号となり、脳が交感神経と筋肉に命令して体温を上げる反応。体温を上げることで、ウイルスをやっつけやすくする環境を作っています。
一方の心因性発熱は、ストレスに対処するために交感神経の働きを活発にするいわば体の防御反応です。交感神経の高まりで体温が上がります。
このため、風邪の発熱は炎症を抑える薬を飲むことで熱を下げることが可能です。心因性の場合は、病院で血液検査をしても炎症反応は見られず、風邪薬や解熱薬など炎症を抑える薬を飲んでも熱が下がりません。
心因性発熱で微熱が続くときの薬は?
それでは、心因性発熱のときにはどんな薬を飲めばよいのでしょう? 前述のとおり、風邪薬や解熱薬はほとんど効きません。
ただし心因性発熱によって引き起こされる頭痛に対しては有効なことがあります。また、安定剤や抗うつ薬、睡眠薬などストレスに対する薬が有効です。
とはいえ、薬の有効性は人によってさまざま。ストレス性の病気は薬を飲むことに加えて、並行して治療を行うことが有効です。薬の効果はそれらの要因によって左右されます。
微熱が続く心因性発熱の治療法とは
微熱が続く心因性発熱の治療法は、通常の発熱とは違う方法をとらなければなりません。そのポイントは、患者本人が精神的に無理していることを自覚することです。
心因性発熱はストレス性であっても、高体温が続くということはふだんより多くのエネルギーを使っていること。いつもなら何でもないことが、体にとっては大きな負担となってしまいます。
ストレスがかかった状況というのは、知らず知らずのうちにしゃべり方や呼吸の仕方、物事の考え方などが早くなりがち。それらすべてをゆっくり行ってもらうように指導することで治療します。
続く微熱を下げる日常生活の対処法
心因性発熱が続いている時期の生活上の注意点としては、日常生活のペースダウンのほかに、睡眠時間を充分確保することも大切。具体的には、微熱が続いているあいだは次のことを守ってください。
【微熱が続く心因性発熱の対処法】
- その日にすることの優先順位を決める
- 仕事や家事の合間にこまめに休憩する
- 休息するときは体を横にして目を閉じる
今回の症例も治療で治ったわけではありませんが、精神的なストレスと患者本人が折り合いをつけたことが心因性発熱が治ったきっかけ。続く微熱を下げるには日常生活をペースダウンすることが大切なのです。
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