頚椎ヘルニアが原因で転倒!?その判別法と改善枕の作り方
「頚椎ヘルニア」といえば、肩から腕にかけての痛みやしびれが典型的な症状。しかし、頚椎ヘルニアが原因でつまずいたり転倒したりすることがわかってきました。つまずきのメカニズムを解説するとともに、首の異常の簡単なチェック法、そして頚椎ヘルニアを改善する「枕」の作り方を紹介します。
頚椎ヘルニアがつまずきの原因と判明
街を歩いているとき、ついつまずいてしまう人が急増しています。その多くが普通に歩いているつもりでも、思ったより足が上がっていないことが原因です。つまずきによる転倒や転落などで命を落とす人は、なんと年間7千人以上もいます。
そのおもな原因は、加齢による「筋力の低下」と「平衡感覚の衰え」と考えられてきました。しかし近年の研究によって、この2つ以外に「頚椎ヘルニア」がつまずきの原因となっていることがわかってきたのです。
実際に、つまずきやすいと感じている人の中に「頚椎ヘルニア」が原因の人がどれくらいいるのかを実験してみます。実験で使用するのは「継ぎ足検査」と呼ばれる歩行テスト。5mの長さの直線上を、つま先とかかとを交互に付けながら足を継ぎ足していくように歩くテストです。
時間内にうまく歩いてゴールできればOK。時間をオーバーしたり、直線からはみ出たりしたら「頚椎ヘルニア」が原因と考えられます。実験に参加するのは50~60代の男女10名です。
継ぎ足検査の目標タイムは、健康な50~60代の平均値である「12秒41」です。実験の結果、なんと10名中7名がアウトという結果になりました。さらに、その7名を精密検査したところ「頚椎ヘルニア」が発見されたのです。
足先まで伸びる運動神経まで障害
実際の首の部分のMRI画像を見てみましょう。首には骨と椎間板という軟骨がありますが、MRI画像では椎間板がはみ出して脊髄を圧迫しています。すなわち、つまずきやすくなる「頚椎ヘルニア」とは、加齢による椎間板の変形による「脊髄の圧迫」だったのです。
それでは、脊髄が圧迫されるとつまずきやすくなってしまうのでしょうか? そもそも脊髄には、脳から発信された指令を手足などの末梢神経に伝える働きがあります。ところが、加齢などで隣にある椎間板が弾力を失ってつぶれてしまうと、椎間板が徐々に脊髄のほうへはみ出すことに…。神経が圧迫されてしまうのです。
この状態になるとまずは感覚神経が障害されて、手足のしびれなどが症状となって現れることが知られています。そればかりか神経への圧迫がさらに強まることで、足先まで伸びる運動神経まで障害を受けるのです。
その圧迫の強さによって、脳から送られる信号が伝わったり伝わりづりづらくなったりと、不安定になってしまいます。その結果、頭で思っているよりも実際には足が上がっていないことがおこってつまずいてしまうのです。
グーパーテストで異常がをチェック
椎間板の変性や変形が始まるのは20代から。椎間板の水分量が低下して変形が始まります。そして、60代ではほぼ100%の人に椎間板の変形が見られるのです。そこで、自分の首が大丈夫かを簡単にチェックする方法を紹介します。
それは「グーパーテスト」です。これは腕を伸ばしてグーパーという動作を10秒間に何回できるかを見る検査。「頚椎ヘルニア」がおきると脳からの指令が伝わりづらくなるため、手先をスムーズに動かしにくくなります。そのため、グーパーと手を動かす動作もすばやくできなくなるのです。
注意すべきポイントは、指をしっかりピンと伸ばすようにすること。この動作を10秒間で20回以上できれば正常。20回未満の場合は、首の脊髄に何らかの問題がある可能性があり…と診断されます。20回未満だった人は、レントゲンやMRI検査を受けて、椎間板の状態をチェックするようにしましょう。
グーパーテストで異常がなくても、加齢とともに「頚椎ヘルニア」がおきる可能性は高まります。そこで、首の異常を予防する方法を紹介しましょう。それは「首を守る枕」です。
じつは「頚椎ヘルニア」を進行させる原因は加齢だけではありません。「枕」である可能性が高いのだとか。逆にいうと、枕による脊髄の圧迫を食い止められれば、すでに首に異常がある人でもそれを改善できるのです。
就寝中の圧迫を軽減すると回復
それこそが「首を守る枕」。一番適切な角度に枕で首を安静に保てれば、その中にある脊髄の神経は自力で回復してきます。脊髄には一度異常が出ても、自力で回復する能力があるのです。そのためには、適切な高さの枕を使うことが大切。そんな枕を家庭でも簡単に作れる方法を紹介しましょう。
用意するのは「玄関マット」と「タオルケット」です。まずは玄関マットを3つの蛇腹折りにします。四隅をしっかり揃えることがポイントです。続いて、2つ折りにしたタオルケットを3つの蛇腹折りにして、それをさらに3つの蛇腹折りにします。こちらも四隅をしっかりと合わせてください。
これを先ほど折った玄関マットの上に乗せます。このとき、首側に来る側面は床と垂直になるようにピッタリと合わせるのがポイントです。
続いて、自分に合った高さに枕を調節。枕に頭を乗せて、両手を胸の前で合わせてひざを立ててください。その状態で体を横に倒します。このとき、顔から足までが布団と平行になるように枕の高さを調節するのです。
調節方法は、タオルケットを1枚ずつ外しながら行います。鏡を使えば1人でも簡単に確認できるでしょう。最後に左右に寝返りを打ってみてください。無理な力を入れずにコロコロと寝返りが打てれば、それで完成です。
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