周富徳も死去した「誤えん性肺炎」の危険性
長いあいだ、日本人の死亡原因の1位は「がん」、2位が「心臓病」、3位が「脳血管病」でした。しかし、2011年から脳血管病に変わって「肺炎」が3位となったのです。なかでも注意すべきは、周富徳も死去した「誤えん性肺炎」になります。『駆け込みドクター!』で紹介されていました。
死因で誤えん性肺炎が増えている
「肺炎」とは、肺に炎症がおきる病気の総称。その原因は、細菌やウイルス、カビなどの感染によるものです。「マイコプラズマ肺炎」や「気管支肺炎」などの言葉を聞いた人も多いでしょう。
しかし、現在お年寄りで流行っている肺炎は、これらの肺炎とは少し様相が異なります。2014年4月、「料理の鉄人」と呼ばれた周富徳さんが亡くなりました。その死因が「誤えん性肺炎」。この誤えん性肺炎が増えているのです。
通常、食べ物が食道を通って胃に入るとき、気管に入らないようにフタがされます。しかし、歳をとって飲み込む力が弱まると、気管に入らないように閉じるフタのタイミングが遅れがちに…。食べものが誤って気管に入り込んでしまいます。これが「誤えん」です。
そして、食べ物とともに取り込まれた細菌によって引き起こされる肺炎が「誤えん性肺炎」。その症状は激しいせき、高熱、色の濃いタンなどです。さらに、食べ物を誤って飲み込む以外にも原因があるといいます。その意外な原因の1つめが「だ液」です。
肺炎の意外な原因は逆流性の異物
通常、人の口の中にはインフルエンザ菌や食中毒の原因となる黄色ブドウ球菌など、およそ300種類以上の細菌が存在しています。加齢とともに増加する歯周病菌などもその1つです。だ液と混ざり合ったこうした細菌が肺に入り込み、せきでうまく出せないと肺に炎症がおこります。
もう1つの意外な原因は「逆流性の異物」です。それは寝ている間におこりやすいもの。目に覚めているときは異物が肺に入ったときは、せきという形で異物を出そうとします。寝ている間は反射反応が抑制されるなか、胃の内容物が逆流して肺に入り込んでしまい、肺炎をおこす人も多いのです。
本来、食道と胃のつなぎ目には、胃の中のものが逆流しないための弁があります。しかし、この調節機能が衰えると、寝ている間に胃の中のものが逆流しやすくなるのです。しかし、大きな食べ物などが肺に入るわけではないので、気づかない人が多いのだとか。熱が出て具合が悪いので調べてみると誤えん性肺炎だった…というケースがよくあるのです。
■5月18日放送『駆け込みドクター!』
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