心原性脳梗塞を引き起こす危険な動悸の見極め方

心原性脳梗塞で死のフチをさまよった男性がいます。その奇跡の生還を果たした患者の実例を見ながら、心原性脳梗塞を引き起こす危険な動悸の見分け方を見ていきましょう。『みんなの家庭の医学』の「いま気をつけるべき病」で紹介されていました。

心原性脳梗塞で死の淵をさまよった

心原性脳梗塞で死の淵をさまよった62歳の男性がいます。この男性に最初の異変がおきたのは30代のころ、1人息子と遊んでいるときのことでした。ちょっと動いただけで動悸がおこったのです。しかし、動悸はわずか30秒ほどで消失。とはいえ年に1～2回、かすかな動悸がおきるようになりました。

それから24年たった52歳のときのこと、いつもと違う種類の動悸を感じます。これこそが危険な動悸でした。動悸はいつもより少し長めの1分間ほど継続。規則性のない乱れた動悸です。それ以来、不規則な動悸が半年に1回のペースでおこるようになります。

決定的な異変がおきたのはとある宴会。開始20分ほどで男性は尿意を催しました。そんなに飲んでいないのに妙に足がふらついています。何とか用を済ませ席に戻ろうとしたとき、男性はその場で倒れてしまったのです。

起き上がろうにも、左側の腕や足がまったく動きません。しかも顔半分だけがだらりと垂れ下がっています。男性は脳梗塞を発症したのでした。そして、その真犯人こそ男性の心臓でおきていた心房細動。いわゆる心原性脳梗塞です。

医学会でもっとも危険な脳梗塞といわれるのが心原性脳梗塞。半数近くの人が寝たきり、もしくは死亡してしまいます。

心房細動で心房が痙攣すると血液をうまく送り出せなくなります。心房内に滞留した血液は徐々に固まり、血栓ができてしまうことも…。この血栓が心臓からはがれ、血管をつたって脳で詰まって心原性脳梗塞を発症するのです。

さらに、心房の血栓は通常よりも巨大化。巨大な血栓が脳に飛んでしまうと、脳のもっとも太い血管が詰まってしまうことになります。こうして、心原性脳梗塞では脳の片側のほぼ半分近くが壊死してしまうことになるのです。

このような事態を避けるには、危険な動悸の変化を見極め方が大切。この男性の場合、30代のときは規則正しい動悸でした。しかし、50代になると不規則なリズムの動悸に変化。これこそが、心房細動がおきていることを示す危険な動悸だったのです。

■『みんなの家庭の医学』
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