女性のアルコール摂取量と脳卒中に密接な関係
1日にビール500ml缶2本以上飲む女性は時々しか飲まない女性に比べて、脳卒中になるリスクが2.3倍も高いとする大規模調査結果を、国立がん研究センターなどが発表しました。女性を対象にした飲酒に関する健康調査はほぼ初めてといいます。女性のアルコール摂取量と脳卒中には密接な関係がありました。
アルコール摂取量と脳卒中の発症
アルコール摂取量と脳卒中や虚血性心疾患の発症リスクについての研究報告は、男性を対象にしたものがほとんど。日本人の女性を対象とした研究は、多量飲酒者が少ないことや虚血性心疾患の発症率が低いことなどの理由から、ほとんど検討されていませんでした。
今回の調査は、国内9保健所管内に住む40~69歳の健康な女性約47,000人を平均17年間追跡。アルコール摂取量と脳卒中や心筋梗塞の発症との関係を調べました。
調査では、追跡期間中に1,864人が脳卒中を発症。内訳は脳内出血が532人、くも膜下出血が338人、脳梗塞が964人、その他が12人でした。また、292人が虚血性心疾患にかかっています。
アルコール摂取量は1日1合未満
アルコール摂取量については、日本酒換算で「飲まない・時々飲む・1日0.5合未満・1日0.5~1合・1日1~2合・1日2合以上」に分類。「時々飲む」を基準として脳卒中などの発症リスクを算出しました。
ちなみに日本酒1合は、アルコール換算でビール中ビンまたは500ml缶1本、缶チューハイ350ml缶1.5本、ワインは1/4本、ウイスキーはダブル1杯に相当します。
その結果、脳卒中については「時々飲む」に比べて「1日1~2合」で1.55倍、「1日2合以上」で2.30倍と発症リスクが増加。また、脳内出血は「1日2合以上」で2.85倍、脳梗塞で2.03倍と発症リスクが増加しました。
一方の虚血性心疾患は発症数が少なく、はっきりした傾向は見られません。健康維持のためには、女性のアルコール摂取量は1日1合未満にとどめることが望ましいと考えられます。