危険!人生の「貯めどき」を見逃すべからず
人生にはお金を貯めやすい「貯めどき」と、何かと出費が重なる「使いどき」があります。ふだんあまり意識しないこの「貯めどき」を、しっかり逃さないことが安定した老後につながります。
最初の「貯めどき」は「独身時代」。給料がそれほど多くなくても、自分次第でお金を貯めることができます。次は「結婚後」です。共働きして夫婦で稼げば、貯蓄のスピードは格段に上がります。
子供がいる世帯では、子供が高校~大学へと進学するころ「使いどき」に転じます。まとまった額の教育費がかかるのと、この時期は住宅ローンを抱えていることが多いからです。貯めたいのに、蓄えを取り崩す時期が続きます。
ただし、この「使いどき」は永遠には続きません。子供が就職して独立すれば一気に家計が楽に。再び蓄えるときがやってきます。人生最後の「貯めどき」です。
このあとは退職後の「使いどき」がやってきます。総務省の家計調査によると、年金生活者は毎月4万円前後の貯蓄を取り崩しながら生活をしています。退職後は年金が収入の大半を占めるので、家計が赤字になりやすいのです。
このように、退職後に備えて最後の「貯めどき」を逃さず、老後に資金を残すことが重要。ところが、近年は異変がおきています。結婚や出産が高年齢化し、最後の「貯めどき」がなくなってしまう人が多いのです。退職後も子供が大学に通っている…という話はよく聞きます。
若い夫婦であれば「年に一度は海外旅行」や「高い家賃の家に住む」というパターンが要注意。貯蓄がなかなか進みません。こういう夫婦は出産時期も遅く、最後の「貯めどき」がこないという事態に陥りがちです。
最後の「貯めどき」を逃してしまった人にとって、効果的な解決法は節約より、できるだけ長く働き続けること。働く期間が長くなれば、それだけ最後の「貯めどき」を長くできます。収入が多くなくても「使いどき」を先送りする効果はあります。60歳以降は給料が下がるケースがほとんどですが、働くほうが節約よりも家計への貢献度は大きいのです。
それでも足りない場合は、自宅を担保に生活資金を借りる「リバースモーゲージ」を利用する手があります。高校や大学に通う子どもがいれば、奨学金も選択肢のひとつ。いずれにしても人生で何度か訪れる「貯めどき」を逃さないことが大切なのです。