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待ったなし!公的年金の「上乗せ制度」改革

「国民年金」に上乗せして年金を支給する「国民年金基金」が2014年4月から引き上げられるのは、年金財政の厳しさを表しています。企業年金の一種で「厚生年金」に上乗せ支給する「厚生年金基金」の大半を廃止する法律も2014年4月に施行。少子高齢化で国民年金や厚生年金など、公的年金の支給額の減少は避けられません。



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国年基金や厚年基金の財政が厳しくなったのは、過去に高い利回りを加入者に約束したものの、想定通りの運用ができなかったため。国民年金基金の場合、2012年度末に必要な積立金は「約4.3兆円」でしたが、不足額が「約1.5兆円」に及びます。いまの受給者には手厚い年金を支給し続けますが、新規加入者の保険料を引き上げないと制度が破綻するリスクが高まっています。

一方、年金支給の土台である公的年金の支給水準はこれから減り続けます。2015年4月にも年金の支給額を自動的に減らす「マクロ経済スライド」が初めて発動する可能性があるのです。いまの支給水準では少子高齢化に対応できず、子どもや孫の世代に過度な負担を回すために減額は避けられません。

「経済協力開発機構(OECD)」によると、現在20歳の人が年金を受給する世代になったときの支給水準は、日本は9ヶ国の中で下から2番目。公的年金が減る一方、他国に比べて上乗せ年金や私的年金が乏しいためです。上位のデンマークやオーストラリアでは、年金支給額のうち大半を加入義務のある私的年金でカバーしているのです。

老後のための貯蓄に税制の優遇策をほどこす私的年金制度の創設や、個人が掛け金を積み立てて運用する個人型確定拠出年金を使いやすくするなど、やれる手はまだまだあります。厚労省は2014年春以降、年金制度が公的年金に頼る構図を改めるため、私的年金や企業年金などの上乗せ年金の拡充策の検討を始める方針です。

安心して暮らせる老後の生活設計ができれば、現役世代の個人消費も活発になりやすくなります。高齢になっても長く働き、年金に頼らない人を増やす仕組み作りとあわせ、公的年金の上乗せ制度の改革は「待ったなし」の課題といえるのです。

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