お酒を飲まない人にも発症する肝炎の症状とは?
お酒を飲まない人でも肝炎を発症する人が増えています。生活習慣の乱れから脂肪肝となり、なんと歯周病が原因でアルコールを飲まなくても肝炎を発症するというのです。実際の症例を見ながら、その肝炎の症状を見ていきましょう。『みんなの家庭の医学』で紹介されていました。
日本人の成人の30%が脂肪肝
43歳の女性は、8歳の長女と6歳の長男を女手1つで育てるシングルマザーです。いまから15年前、女性は多忙な日々を送っていました。徹夜で一睡もしないまま朝を迎えることもしばしば。やがて日々の疲労がたまったのか、ケアレスミスを連発します。さらには立ちくらみまでおこすようになりました。
あまりの体調の悪さに自宅近くの病院を訪れます。さまざまな検査を行った結果、体調の悪さの原因は単なる過労と判明しました。しかし、それとは別に内臓にある問題がおきていることがわかったのです。
肝臓が脂肪肝になっていました。そもそもお酒を飲まない女性でしたが、生活習慣の乱れから肝臓に脂肪がたまる脂肪肝になってしまったのです。近年の研究では日本人の成人の30%、およそ3千万人が脂肪肝といわれるほど年々増加している病です。
間食を控えたり就寝前に食べないことを指導されましたが、女性にとって脂肪肝はたいしたことはないという認識でした。
肝臓の声なき悲鳴が重だるさだった
その後、数年後との健康診断でも肝機能の数値は変わらず高いものの、運動や節制をしなくても症状が悪化することはありません。そのため、女性の頭からは脂肪肝が病気だという認識は薄れていったのです。
それから10年の月日が流れます。女性は33歳で結婚して2児の母親となっていました。そんなある日のこと、遊んでいる子供を見ているときに最初の異変が襲い掛かります。
子どもに呼ばれ立ち上がったものの、すぐに座り込んでしまいました。なぜか体が鉛のように重く感じたのです。それは小さな違和感でした。その違和感がやがて変化します。
いつものように起きようとすると、体をだるさが襲ってきたのです。それは以前と違って、微熱があるような重だるさでした。しかし、女性はだるさを年のせいと思い込み、病院で診察を受けなかったのです。この症状こそ、沈黙の臓器である肝臓がついにあげた声なき悲鳴でした。
だるさが肝炎の症状であることが判明
それから2年後、何気なく受けた健康診断でだるさの原因が判明します。ひどい「肝炎」になっていました。だるさは肝炎の症状だったのです。
そして、その原因が「歯周病」。本人も気づかないうちに歯周病を患っていました。歯周病菌がアルコールを飲まなくても肝炎を発症させる犯人だったのです。
歯周病菌は歯周ポケットにたまると、そこから体内に侵入。血管を通して、全身をめぐり始めます。多くは白血球によって退治されますが、強い菌は血液の最終処分地である肝臓まで到達してしまいます。
すると菌の侵入を感知した肝臓が、刺激物質を分泌して菌の退治を開始。このとき、健康な肝臓であれば刺激物質の影響はほとんど受けません。しかし、脂肪肝になってしまった肝臓が刺激物質に過剰に反応。長い年月をかけて脂肪肝から肝炎へと進行してしまうのです。
この女性は投薬治療や運動・食事療法とともに、歯周病の治療を開始。すると肝臓の数値はみるみる下がり、歯周病の治療が終わるころにはすっかり正常値に戻ったのです。現在は歯周病も肝炎も完治。健康な日常を取り戻しました。
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