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40代で発症する「前頭側頭型認知症」の症状とは

40~60代で発症する認知症としてアルツハイマー型認知症に次いで多いといわれるのが「前頭側頭型認知症」です。「ピック病」と呼ばれることもあります。実際の症例を見ながら、ほかの認知症との違いを見ていきましょう。『あのニュースで得する人損する人』で紹介されていました。



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40代で発症する「前頭側頭型認知症」の症状とは


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前頭側頭型認知症は自力で戻れる

ある施設で暮らす71歳の女性が突然、立ち上がって向かったのは外へと続く通路でした。「前頭側頭型認知症」を発症してから8年になるこの女性は、1日のうち何度もこうして外に出ようとします。

ドアには特殊なカギが付けられており、1人では外出できません。しかし、ひとたびドアが開くと、猛然とドアに向かっていきます。そしてついには、鍵がかかっていないドアから外へ出てしまいました。

その姿はまさに「徘徊」。認知症の症状で無意識で外を歩き回るこの行動により、2013年だけでおよそ1万人が行方不明になっています。65歳以上の4人に1人が、認知症またはその予備軍といわれる現在、徘徊による行方不明者数はさらに増えると予想されるのです。

自らの安全を守れない認知症患者にとって、徘徊は命の危険に直結する深刻な問題といえるでしょう。しかし、この女性の徘徊の行き先を見守っていると、20分後に彼女がたどり着いた場所は施設。自分1人の力で無事に戻ってくることができたのです。


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前頭側頭型認知症は前頭葉の病気

一般的に認知症の患者が外を徘徊すると、道がわからなくなり帰ってくることができず行方不明になることもあります。この女性はなぜ帰ってくることができたのでしょうか?

じつは前頭側頭型認知症には、私たちがよく知るアルツハイマー型認知症との大きな違いがあるのです。アルツハイマー型認知症は「海馬」「側頭葉」「頭頂葉」といった、脳の後ろのほうが中心に侵される病気です。これにより記憶障害をおこしたり、自分の居場所を認識する機能が低下します。

一方、前頭側頭型認知症は前頭側頭型認知症といわれるとおり「前頭葉」「側頭葉の前方部」といった脳の前のほうが侵される病気です。

前頭葉は、興味・やる気・意欲を維持していく機能と、人の心を推し量ったり共感したりする機能があります。ピック病はこういった働きが低下することで、いろいろな症状が出てくるのです。

前頭側頭型認知症であるこの女性は、記憶や自分の居場所を認識する機能に異常がないため、施設に自分で戻ってこられたのでした。


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前頭側頭型とアルツハイマー型の違い

実際の患者を見てみると、前頭側頭型認知症とアルツハイマー型認知症のさまざまな違いが明らかになります。アルツハイマー型認知症になると1人でできないこととして「洗濯・着替え・歯磨き・風呂・トイレ」が挙げられます。

一方の前頭側頭型認知症の患者は、自らボタンをかけて着替えることが可能。いわれたことを把握して行動に移すこともできて、料理の下準備や食器洗いもできます。掃除機をかけることもできるのです。

しかし、掃除機をかけている様子をしばらく見ていると突然、掃除機のスイッチも切らずに掃除をやめて、外に向かおうとします。食器洗いをしていたときも、途中で食器洗いをためて部屋に戻ってしまいました。


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前頭側頭型認知症の特徴的な症状

つまり、前頭側頭型認知症はアルツハイマー型認知症とは異なり、初期段階では記憶がしっかりしている反面、意欲・やる気がなくなったり、行動のコントロールができなくなるといった症状が特徴です。

そして、この前頭側頭型認知症にはもう1つの特徴的な症状があります。ひたすら電気を点けたり消したり、急に部屋の中をグルグル歩き回ったり…。同じところをグルグル回るのは、常に決まったコースを決まった時間に歩くというもの。電気のオフ/オフを繰り返すことも含めて「常同行動」と呼ばれます。

「行動がコントロールできない」そして「同じ行動を繰り返す」…これが前頭側頭型認知症の典型的な症状なのです。

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