介護保険「対象外サービス」充実のウラ事情
高齢者の見守りなど介護保険制度の適用にならないサービスに、介護大手各社が力を入れています。要介護認定の高齢者は570万人を超え、介護スタッフに身の回りの世話を求める人が増えているのが現状。各社は「保険外」の周辺業務を手厚くし、将来の介護報酬引き下げに備えます。
「ニチイ学館」は高齢者の深夜の徘徊を防ぐ見守りサービスを開始します。「深夜見守りサービス」は、料金が1回2万円前後です。在宅介護で負担が大きい家族らの利用を想定。高齢者の衣服の洗濯や食事の用意といった家事も、訪問介護の資格を持つ社員が代行します。
これらのサービスは健康な家族が同居している場合は原則、介護保険の対象になりません。ニチイ学館は外出支援なども含めて全国1,000カ所でサービスを提供。2013年3月期に7億円だった家事代行の売上高を、中期的に20億円に増やす予定です。
「セントケア・ホールディング」は家事代行を全国展開します。2014年1月に家事代行や生活支援事業を開始予定。高齢者の買い物や通院など外出を支援します。全国一律、1時間あたり3,780円の料金で、訪問介護を手掛ける206事業所すべてで展開する予定です。
訪問入浴サービス大手の「アースサポート」も家事代行業に本格参入。単身の高齢者世帯などの利用を見込み、年内に専門スタッフ約10人を採用する予定です。
高齢者向け家事代行サービスでは、ダスキンの「ホームインステッド」などが先行しています。要介護の高齢者は増加傾向にあり、家事代行など身の回りの世話への需要は伸びそうです。
政府は社会保障費の膨張を抑制する方針を打ち出しており、介護各社は自治体などから支払われる介護報酬が2015年度にも引き下げられると予測。家事代行などはこれまで保険適用サービスに合わせて提供されることが多かったものを、各社は主力メニューのひとつと位置付けて定着させたい考えです。付加価値を高めたサービスで自由に料金を設定しやすいため、収益下支え効果も見込めます。