潰瘍性大腸炎の症状が「便移植」で改善した症例
便移植とは、3年前に研究論文が発表された最新の治療法です。日本で行っているのは順天堂大学や慶応大学、千葉大学の附属病院などぜんぶで5か所あります。その1つが愛知県にある藤田保健衛生大学病院です。潰瘍性大腸炎の症状が便移植によって改善した症例を見ていきましょう。
潰瘍性大腸炎の患者に便移植
病気の患者の腸の中というのは、かなり腸内細菌のバランスが崩れた状態。そういった人に、健康な人の腸内細菌を投与することで腸内環境のバランスを改善させるのが便移植です。
便の中には、多くの腸内細菌が含まれています。これを移植すると腸内環境が整って、症状が改善するというのが便移植なのです。
健康な人の便に生理食塩水を加え、攪拌して不要なものを取り除くと、腸内細菌が入った液体ができます。これを患者に内視鏡を使って投与するわけです。実際に潰瘍性大腸炎の患者に、便移植を行う様子を見てみましょう。潰瘍性大腸炎とは、腸の粘膜に潰瘍などができて血便や下痢、激しい腹痛を伴う難病です。
潰瘍性大腸炎の症状が改善した
潰瘍性大腸炎の患者数はおよそ15万人。患者数は増加していますが、原因はわかっていません。この患者も潰瘍性大腸炎によるひどい下痢に悩まされていて、外出中はおむつを常備しなければならないほど。入退院を繰り返していました。
便移植は内視鏡を使い、腸内細菌を抽出した茶色い液体を注入していきます。便移植はわずか2分で終了。この患者は今回で3回目の便移植です。便移植の前後で比べると、潰瘍も減ってかなり症状の改善が見られています。
便移植は体への負担が少ないのも特徴。内視鏡検査と同じ程度といいます。ただし、便移植は感染症などの危険性があるのも事実。日本では親と子など1親等に限って実験的に便移植は行われています。
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