糞便移植で健康な人の腸内細菌を病気の人に移す
腸内環境を改善することが健康につながることが意識されるなか、いま注目されているのが病気との関係。食生活や感染症などで腸内細菌の構成が乱れるとさまざまな病気につながることが指摘されています。そして、その究極の解決法が「糞便移植」。糞便移植について詳しく見ていきましょう。
糞便移植は腸内細菌研究の究極の形
理化学研究所などのチームは2013年、免疫反応を抑制する細胞を活性化する17種類の腸内細菌を、世界で初めて特定しました。この細菌をマウスの口から胃腸に注入すると、腸炎や下痢などを防ぐことに成功。また、健康な人に比べ、炎症性腸疾患の患者の便には、これらの細菌が少なかいこともわかりました。
さらに理研チームは、細菌が病気から体を守る仕組みも明らかにしています。マウスを使った実験で、特定のビフィズス菌が糖を分解するときに「酢酸」を作り、この酢酸が大腸粘膜を保護。「O157」に感染しても死に至るような悪化を防いでいたのです。
こうした研究の究極の形ともいえるのが「糞便移植」。健康な人の腸内細菌を病気の人に移すことで、症状を改善させるという治療法です。
糞便移植は液体を内視鏡で腸に注入
糞便移植は「便微生物移植」とも呼ばれているもの。細菌の宝庫である大便に生理食塩水を加えて混ぜ合わせ、濾過した液体を内視鏡で腸に注入します。
2013年、偽膜性大腸炎患者の治療に「効果がある」という研究結果が医学誌に掲載。従来の治療法より、はるかに高い効果が中間解析でわかって研究が終了したほどです。
また、糞便移植は過敏性腸症候群にも効果があるといいます。どの細菌が有効かわかれば、薬の開発につながると期待されているのです。
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