がん治療は「診療ガイドライン」を学ぶべし
がん患者を対象にしたアンケートで、治療方法を決める際の情報収集でもっとも多いのは「インターネット」、次いで「担当医」でした。インターネットの情報は玉石混交。また、主治医1人の意見では、バイアスがまったくないとはいい切れません。
最適な治療法を選ぶには「標準治療」について学ぶことが必要です。そして、その内容を知るには「診療ガイドライン」がもっとも適しています。
がん治療に関する指針が日本でも作成されるようになったのは、ここ10年ほど。医療者を対象に書かれているため、専門用語が多くわかりにくいのが難点です。
日本乳癌学会は2006年から、専門医と患者団体が協力して「患者さんのための乳がん診療ガイドライン」を作成。最新版の2012年版はサイトで公表され、2,415円で購入もできます。年間約6万人が乳がんと診断されるなか、この1年半で約1万5千部も売れた隠れたベストセラーです。
このガイドラインは、治療前に行う検査や乳房温存療法の適応、手術後の経過観察など、患者が疑問に思うことの多い66の「Q&A」を掲載。いま自分が治療のどの段階にいるのか、何を知りたくて悩んでいるのかの道しるべとなるように作成されています。
医師の説明を受けた後に指針を読み、わからない点や、さらに詳しく知りたい点を次の外来で尋ねる…といった使い方が可能。医師から納得できる答えが得られなかった場合は、セカンドオピニオンを取ることをおすすめします。