心不全の治療にテルモが世界初の心筋再生医療
テルモは心不全患者の治療のための心臓の再生医療を事業化するため、厚生労働省へ製造販売の承認申請を行いました。これは患者の細胞を培養した心筋シートを心臓に貼り、機能の回復を促すという心不全の治療法。自身の細胞を使うため、拒否反応の危険性が低いことが特徴です。
心不全治療における新たな選択肢
テルモは2014年10月30日に、重症の心不全を対象とした骨格筋芽細胞シートについて厚生労働省へ再生医療等製品として製造販売承認申請を行いました。申請が承認されると世界初の心筋再生医療製品となり、心不全治療における新たな選択肢として期待されます。
心不全は心臓の機能が低下して、必要な血液量を送れなくなる病気。重症になると、人工心臓の装着や心臓移植が治療の選択肢となります。
日本における患者数は約20万人、死亡数は約6万人で年々増加傾向です。近年の薬物療法や外科治療の進歩にも関らず重症化すると回復が難しく、新たな心不全治療方法の開発が望まれていました。
心不全治療に心筋シートを貼る
骨格筋芽細胞シートは患者の大腿部から筋肉組織を採取し、組織内に含まれる骨格筋芽細胞を体外で培養してシート状にします。それを傷んだ心筋の表面に貼ることで、重症心不全の治療が期待できるというもの。細胞は患者自身から採取するため、拒絶反応がないことが特徴として挙げられます。
テルモは2007年から心筋再生の細胞シートの開発に着手。2012年から国内3医療機関で治験を実施していました。
細胞シートによる再生医療が承認されれば、悪化前に治療することで心不全患者の身体負担を軽くできることなどが期待されています。なお、安全性などの審査には約1年間かかる見通しです。
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