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40代からの医療情報…現役看護師が監修

脳年齢が18歳若返った「デュアルタスク」とは

血流量低下による短期記憶能力の悪化が認知症の第一歩です。いったん低下してしまった脳の血流は、元に戻すことはできないのでしょうか? じつは血流量の低下は改善できるのです。その秘密が「デュアルタスク」。脳を実年齢より18歳も若返えらせた人もいます。『みんなの家庭の医学』で紹介されていました。



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脳年齢が18歳若返った「デュアルタスク」とは


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2つ以上を同時に行うデュアルタスク

その方法を知るのが、千葉みなとリハビリテーション病院の山田達夫医師です。山田医師いわく、年をとってくると歩いていて雨が降ってきたしても、歩きながら傘をさせなくなるのだとか。いったん立ち止まらないと、傘をさせません。すなわち、1つ1つの動作が分解されてしまうのです。

そうならないように2つ3つのことを並行で行う能力をいつまでも保つというのは、若さを保つことにつながります。つまり、衰えた脳の血流量を上げるには、たとえばお風呂に入りながら歌を歌ったり家事をしながらテレビを見るなど、2つ以上のことを同時に行える能力を鍛えることなのです。

それこそが「デュアルタスク」。デュアルタスクを身につけることで、認知機能の改善が期待できます。じつは山田医師は以前、デュアルタスクで脳の再活性化に成功しているのです。

それは2003年に発足した、大分県宇佐市安心院町で行っている認知症の予防プログラム「安心院(あじむ)プロジェクト」です。高齢化に伴う認知症患者の急増を防ぐため、山田医師らのグループが予防プログラムを考案。毎週「みんなで料理を作ること」を軽度認知障害の人に続けてもらったのです。


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9割が軽度認知障害から正常に戻った

その結果、脳のいくつかの場所で血流量が低下していた人が、わずか2年で血流量が大幅にアップ。プログラムに参加した約9割が、軽度認知障害から正常に戻すことができたのです。

デュアルタスクが身につく「みんなで料理を作ること」とは、その日の昼食メニューの企画・立案することから始め、買い出し・調理・盛り付けまでを参加者が積極的に行うもの。その行為が脳の活性に大きく影響するのです。

メニューを企画する段階でのデュアルタスクは「食べたいものを考える」と「ディスカッションする」です。この2つの行為が脳の活性につながっていると考えられています。

買い出しのデュアルタスクは「買い物をする」と「お金の計算をする」。認知機能を改善するにはなんとなく買い物をするのではなく、計算しながら買うというデュアルタスクに意味があるのです。

調理では「自分の作業を行う」と「周りの人に気を遣う」がデュアルタスク。複数の品数を同時に作ることも脳の活性化につながっています。


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脳年齢を若返らせる計画力・記憶力・注意力

そしてデュアルタスクを行うことで、脳を老けさせない3つの力が身につきます。

1つめは「計画力」。この計画力が鍛えられるのがメニューを決めるときの話し合いです。どんな料理を作るか、何を買えばよいか、役割分担をどうするか…などを決めるとき、計画力が養われて脳が活性化します。

2つめは「記憶力」です。この記憶力が鍛えられるのは調理の準備段階のとき。以前に作った料理の調理法やどんな完成品だったか、記憶を総動員して準備を行うことで、記憶力が養われて脳を活性化するのです。

3つめは「注意力」。注意力が鍛えられるのは実際の調理をしているときでした。自分の料理に注意しながら周りの動きに注意します。

この「計画力・記憶力・注意力」を身につけて脳を活性化して脳年齢を若返らせることが、認知症予防につながっているのです。

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■8月12日放送『みんなの家庭の医学』
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