軽度認知障害の人の記憶力を向上させる方法
認知症の予備軍といわれる「軽度認知障害」は全国に約400万人いると推計されています。この軽度認知障害から認知症に進むのを防ごうと、さまざまな研究が試みられています。そして、実際に軽度認知障害の人でも記憶力が向上する方法も明らかになってきているのです。
軽度認知障害は半数が認知症に進む
愛知県大府市にある国立長寿医療研究センターでは、社交ダンスや打楽器の演奏が認知症予防につながるのかを調べる臨床試験を4月から始めました。対象は日常生活には支障がないが、物忘れが多い軽度認知障害と診断された70歳以上の男女約200人です。
軽度認知障害は半数が認知症に進むとされ、認知症の予備軍ともいわれています。臨床試験は週1回1時間の教室に参加するグループと、参加しないグループに分け、10か月後に記憶力などの認知機能がどう変化したかを比較するものです。
認知症は発症すると治すことはできないため、現段階では軽度認知障害の段階で認知機能を低下させないことが「認知症予防」にもっとも効果的とされています。
軽度認知障害の人の記憶力が向上
この臨床試験は、アメリカで行われた75歳以上の約500人を追跡した研究を参考にしています。その研究では「読書」や「ボードゲーム」「楽器演奏」「ダンス」をよくする人は、あまりしない人と比べて最大76%、認知症の発症リスクが低かったというものです。ただし「ウオーキング」や「水泳」などでは効果が見られなかったといいます。
国立長寿医療研究センターは2013年、軽度認知障害の人が「計算しながらの踏み台昇降」など2つの課題を同時に行うと、記憶にかかわる脳の海馬の容量が減るのを防ぎ、記憶力が向上することを確認したのです。
この成果に注目した神奈川県は、2014年度から小田原市など2市8町村に委託し、同様の方法で予防プログラムを実践します。とはいえ、自治体がさまざまな認知症の予防活動を実施しても、参加者がなかなか増えないのが現状。ダンスや音楽の教室など地域の資源を活用して、楽しみながら続けられる方法を広げていく必要がありそうです。
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