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遺言書に思い託す「付言」で親族も納得する

夫が亡くなった場合は、妻(配偶者)は最大の相続人になります。しかし、相続はなかなか円滑に進むものではありません。子どもがいる場合、子どもが相続案に不満を抱けば協議が難航することもあります。



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「仲のよかった家族がこうなるとは」と、東京都に住む女性社長(52歳)は話します。別の会社を経営していた81歳の父が亡くなったのは6年前。20億円以上の相続財産と「事業は次男に、そのほかの財産の分割方法は妻に任せる」という遺言書が残されました。

子どもは男2人/女3人の5人で、この女性社長は次女。81歳の母が5人への配分を考えれば丸く収まるはずでした。しかし、夫を亡くした母は急に気弱になり、話をまとめるといい出したのが58歳の次男です。

法定相続は妻が2分の1で、残りの2分の1が子ども5人の分。しかし、両親と同居していた次男は事業を継ぐことを理由に「財産はほとんど自分が相続する」と主張。ほかの兄弟との関係が悪化したのです。

分割協議は、被相続人の死後10ヶ月の相続税申告・納付期限を過ぎてもまとまらず、利子税が発生。負担増を嫌ったほかの4人が折れ、次男が7割以上を引き継ぐことが決まりました。母は自宅と預貯金の一部を受け取りましたが、2分の1の法定相続分を大幅に下回る結果に…。分割協議に疲れ、遺産を受け取らずに絶縁した兄弟もいたといいます。

相続のトラブルを避けるには「遺言書」が欠かせません。とくに残される可能性が高い妻は、夫が元気なうちに遺言書を作ってもらう必要があるでしょう。ただ元気な夫に「遺言を書いて」といきなり依頼してもうまくいかないもの。夫が軽い検査入院をしたときなど頃合いを見計らって「私も心配だから…」と持ちかけてみるのがポイントです。

遺言書はどんな金融資産や不動産があるのかをできるだけ具体的に書き、遺産の分割方法を明確に記してもらうこと。加えて、最後に付け加える「付言」で本人の思いを十分に書くことも大切です。付言に法的な拘束力はありませんが、遺産の分け方を決めた思いを書けば遺言書の内容を納得できる場合が多いといいます。

夫が遺言書を渋る場合は、最低でも財産の一覧表を作ることや生前の戸籍謄本をすべて集めることを頼んでおきましょう。いずれも遺産の分割協議には必要ですが、本人でないと詳細がわかりにくいものです。事前に作っておくだけで協議の負担を軽くすることができるでしょう。

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