日本人の長寿の秘密は地域の「絆」にあった

日本人の平均寿命は女性が86.41歳、男性が79.94歳。女性は世界一、男性も世界5位となっています。日本人はなぜ長生きなのでしょうか。

その理由は「遺伝」や「食習慣」「国民皆保険」などともいわれていますが、これだけでは説明がつきない部分も多いのです。「絆」や「隔たりのない社会」が、日本の長寿を支えてきた…という研究者の指摘もあります。実際、近年は格差が広がり、寿命の伸びが鈍ってきたのも事実です。

人とのつながりの豊かさと健康への影響を調べた研究に、アメリカのシカゴ市にある「北ロンデール」と「南ロンデール」という隣り合う貧困地区を対象にしたものがあります。1995年夏の熱波による10万人あたりの死者数が、「北」と「南」で10倍も違っていたのです。

詳細を調べていくと、「北」は住民の交流が乏しく、救助の呼びかけにも応じずに家に閉じこもっていた高齢者が多数いました。一方の「南」は住民たちに親しい関係が築かれており、孤立者の救助に生かされたといいます。

ハーバード大学のイチロー・カワチ教授らは、東日本大震災の前から宮城県岩沼市で高齢者約5千人を追跡調査中です。豊かな人のつながりが震災前にあったかどうかで、同じ健康状態の人たちが震災から数年たってどう変わっているのかを調べているます。結果は2014年夏にまとまる予定です。