職員の労働環境も施設選びの重要なポイント
「賃金が低い」「仕事がきつい」…そんな状況に介護労働者はどう向き合えばよいのでしょうか? 介護職員からの相談が増えたのは、介護保険制度開始の2000年前後からです。
それまで職員の給料は公務員に準じたものでした。20年働いた50代なら年収500万円台。家だって買えました。ところが制度開始と同時に、職員の賃金を減らす動きが相次いだのです。病院経営者の特養では、資格なしの看護助手と同じ賃金にそろえる例もありました。
小規模なグループホームや訪問介護事業所の場合、賃金の低さは介護保険制度の介護報酬が原因です。一方で特養のなかには、パート職員の時給は最低賃金すれすれなのに、理事長の報酬は1,200万円という事業所もあります。
待遇を改善するには、組合を作るのは一つの手段。事業所や施設運営のハンドルの半分を握ることです。経理をチェックし、「理事長の報酬を減らして職員を増やせ」と要求することもできます。団体交渉を半年ごとに実施し、改善されなければ能力のない施設長や理事長を交代させられるかもしれません。
利用者や家族が施設を選ぶ際のポイントとして、労働者が安定して働けるかどうかはケアの質を左右します。施設の建物の立派さに惑わされてはいけません。以前、虐待がおきた大手の特養はロビーがホテルのようでした。職員の定着率や、さまざまな年齢層の職員がいるかどうかを見るとよいでしょう。