介護保険の給付金が10年で2倍にふくらんだ
高齢者を社会全体で支える仕組みとして2000年度から始まった「介護保険」。入浴やトイレを手助けするほか、食事や掃除、洗濯など身の回りの世話もする制度です。助けを借りずに自立していく老人を支援する仕組みでもあります。
介護の必要な度合いに応じて市町村が利用者を認定し、利用者は費用の1割を負担。手厚い支援が特徴ですが、社会保障費の膨張に伴う財政悪化の一因にもなっています。
利用者の自己負担を除く介護給付費のうち、半分を国と都道府県・市町村の公費で賄います。残りの半分は保険料で、65歳以上の高齢者だけでなく、40~64歳の現役世代も負担しています。
2011年度の給付費は合計約7兆6千億円で、介護保険制度の開始当初から2倍に増えました。団塊の世代が75歳以上になる2025年度には、11年度の2.6倍に膨らむとの推計も出ています。介護保険運営の抜本見直しは避けられません。
社会保障制度改革国民会議は、介護費の自己負担割合の引き上げを提言しました。症状が軽い人を給付対象から外したりする見直し策も提示。給付費は介護施設でサービスをするほうが、自宅で実施する在宅型よりもかさむもの。このため施設に代わる受け皿整備も急務で、地方自治体は国が高齢者向け住宅の整備に向けた支援策を強化するよう求めています。